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2012年2月10日 (金)

本の自炊という言葉、判るかな

灰色の雲が空高く広がっているが、弱い日射しが通り抜けて地上に達している。気温8時現在マイナス1度2分くらいか。
あっという間に2月初旬は終わってしまった。古来2月は逃げると云った。今年は閏だから1日長いがそれでも一日早く逃げる訳だ。

明日は紀元節だ。古事記も今見直されつつあるようだから、紀元節と通称してもいいだろう。何より語呂がいいもんな。
キリスト暦もマホメット暦も皆、確証もなく後世に取り決めただけだから、同じ様なものだ。

iPadのアームはほんとにいい。楽に本が読めるので時の経つのがわからないくらい。眼も身体も疲れない。
書物だとこうはいかない。めくるのも大変だがページを押さえておくのが更に大変だ。
iPadはめくるのは、指先ではじくだけで良い。
ただ本を取り込まなければならないから、私のように、本を切り離して自炊しなければならない。やはりちょっと面倒かな。
金さえあれば買える本はどんどん発行されているから勿論苦労はない。

今日は朝起きがけから乾癬が無性に痒い。厚着の服の上からごしごし掻く、我ながら見苦しい限りだ。
家の中だから関係ないが。
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河北君のシベリア送り脱出行(手記)(その30)

26、再び逢った友は

3月の中頃、街で再び岩村に逢った。今度は前に逢った時とは打って変わり、すっきりした服装で顔色も明るいように見受けられた。
岩村は私を彼の下宿に案内した。私は唖然として彼に連れられながらも、一ヶ月で変った服装、態度を訝った。
彼の下宿でこの間結婚したと言って現れた奥さんを紹介された。これには又々びっくりした。彼は数日前から日本民主連盟による日本人小学校の先生をしているとのことだった。

昨年の暮れにソ連軍より八路軍に引き継がれた占領下で、各地に八路軍に気脈を通じた共産系の日本人グループの組織が日本民主連盟として現れたのは、八路軍による政治をスムースにする目的だと思っていた。そして先日、連盟による小学校が開設されたことは噂として聞いていたが、友人がこの小学校の先生になっていたとは驚かざるを得なかった。

彼は私にも是非この職業に入る事を勧めた。なるほど現在この街では敗戦国民日本人の職業として、肉体労働か、立売り、屋台の行商くらいしかなく、学校の教師は初めて出現したきれいな職場であった。
私自身、ここ暫く安東の街に落ち着くと、今までの行商とか、苦力とか、手内職の仕事に、内地に帰るまでとはいいながら、若干飽きの来ている頃ではあった。しかし、さすがに彼の申し出を受ける訳には行かなかった。

私も6ヶ月前までは軍人の端くれ、共産主義の学校教師となることには拒否反応があった。その気になれば頼みに伺うからと彼の好意を謝して家を辞した。
軍隊に関係なかった民間人の彼には、彼なりの事情があることだろうが、何かしら虚しい気持ちになった。と同時に、いそいそと彼の世話をしていた新婚の奥さんの顔も浮かんで来て、無性に淋しくなった。

だが、私は私なりの生き方がある。これでいいのだと心に言い聞かせた。外は寒気も和らいで春が待たれる時候であった。

家では小父さんが黙々と内職に精出していた。最近は帽子のつば作りより、軍服の上衣のボタン穴かがりが多くなって来た。今は内職に精出すのが一番だろう。雑念を捨てて内職の手を早めた。(つづく)
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