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2006年3月 7日 (火)

学生生活最後の日

今から丁度66年前の学生最後の日、明日は卒業式という日の郷里で迎えた朝の感慨

昭和15年3月7日
 父亡き後の我が家はほんとうに火の消えた様である。弟妹ががたがた騒ぎ泣き廻るので、些か憂鬱は消されるが、流石に何となく頼りない心細い気持である。
 父が亡くなってしまって見るとほんとに僕の学校生活は長かったなあと感ずるのである。

 近頃毎朝飛行機が飛んでいる。時には十数台のものが空を震わせているのだから本当に凄まじい。ぼんやりしている時ならそれでも気が紛れるからよいが、何か読んでいる時なんかは喧しくて困る。ほんとに落ち着かぬ夜になったものである。せめて朝なりと静かにしていてくれればいいんだが、朝っぱちから昼まで唸られるんだから堪らない。

 十年前の麻里布と一変した今日の麻里布。何だか僕の故郷は何処か遠くの片田舎にあるのではないかとさえふっと感ずる。故郷はのんびりした片田舎であって欲しい。それがどんなに私の心の慰めとなり、糧となることであろう。
 麻里布は田舎のままであるには余りにも地勢条件が優れていた。結局何時かは都会に発展すべく運命づけられていた。かくして私は日々此の故郷との繋がりを徐々にうとましく感じて行かざるを得なくなって来たのであった。

 満洲へ行くのも後十日余り。愈行くとなると予想外に準備とか、片付けて置くべきことが多いのに驚く。そしてそれが為に何となく不安を感ずることが偶ある。ぷいと山口へ行くように気軽に行けぬものかなどと思ってみたりする。
 又関釜連絡を20日頃から割り当てにするとか。こんな事が出ると又ひどく不安さが加わる。海外へ自由に往来出来る様な日が楽に来ないものかと歯がゆい気持である。(写真は今はなき我が母校)
 boko

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