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2006年3月13日 (月)

古い日記(400313)から


昭和15年(1940)3月13日
昨日新京への切符購入や旅行支度のために広島へ行った。
己斐駅を下りて汚れた手を洗おうと思ってポンプ(井戸)の方へ行っていると、後から富永君に呼び止められた。
奇遇を喜んで連れだって街へ出る事にした。

先にも麻里布駅で池田君に出会った。君は広島の錦華人絹へ勤めるとの事、仲々スマートな背広を着こなし、中学時代から相当の服装凝り性だった君の事だからさもありなんと感服仕った。

所で今日は変な所で又知人に会ったのだ。何だか不思議な気持に包まれた。富永君がカメラを買うというので千日前を中心にあたりのカメラ店を訪ね廻って、アルゼン又はセミミノルタといったものを捜し求めた。
結局何処にもないのでひょっとしたら福屋にあるかも知れぬというので行って見ると、思い掛けず福屋に只一つアルゼンが陳列されていた。早速富永君はそれを色々調べ回して遂に買った、百円以上の代物である。些か驚く。

昼食を森永で取ると、郵便局へ行き釜山の濱井君へのぞみの寝台券だけ買って欲しいと電報を打つ。福屋の1階にあるツーリスト・ビューローで新京行きの切符と急行券は買い、只寝台券のみがないので買えなかったからだ。
午後は広島東宝劇場で「最後の一兵まで」と「快速部隊」の二つを見た。前者は相当見応えがある作品だが、後者は問題にならない。前者は徒に作戦計画の場面多く、ごてごてして説明ばかりだという感じを与えた。
しかしミヒヤヘル計画の何者かをよく説明していたとは思っているが、最後の方になると流石に画面が緊張に達して、見る者をして感激せしめるなど、熱情がほとばしっていた。活動館を出ると街を行ったり来たりして買物をした。夕方7時半頃に帰った。

あとがき:就職への第1歩と云えなくもないこの日、どうやら旅行支度の買い物はついでにした感じになったようだ。富永君とはどこで別れたのだろう。気の優しい仲のよい親友で、同じ学校を志願し、京都の試験場まで二人で出かけて受験したのだが、その合否が二人の運命を分かった。戦後は深く付合えないまま十数年前忽然として、知らないうちにこの世を去ってしまった。

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